お盆です。～其の壱

狭霧：「やーすっ！」

襖スターン！

水忌：「嫌だ！」

狭霧：「まだ何も言っていない。」

水忌：「時雨さん家に行こうってんだろ？嫌だ。去年行ったじゃん、もういいじゃん。御当主様は忙しいのよ？」

狭霧：「お前…、忙しいって今何をしているのだ。」

水忌：「読書」

狭霧：「(頬を引っ張る)」

水忌：「Σいひゃいいひゃいいひゃいれす！らめぇー！(解放)………なっ、おまっ、無言で主の頬を引っ張る家臣が何処に居る！」

狭霧：「此処に居る。ほら、馬鹿な事を言っていないで行くぞ！」

水忌：「………どうしても？」

狭霧：「どうしても！」

水忌：「………じゃあ後10分くらいで行くから。」

狭霧：「急ぐんだぞ！もう車待ってるからな！」

水忌：「……………。」

～10分後～

水忌：「やっぱ正装は好きじゃない……」

家臣：「風魔様？何か？」

水忌：「(キリッ)…ふふ、儂は何も申しておらぬがのう？」

家臣：「そ、それは失礼致しました！」

水忌：「良い。誰にでもそのような事はある。(にこ)」

家臣：「は、」

狭霧：「…阿呆(ボソッ)」

水忌：「あっ、車が揺れるッ」(ゴスッ！)

狭霧：「ゴフッ！？」(肘が頬にクリティカルヒット)

家臣：「Σ!!?も、申し訳ございません！揺れましたか！？」

水忌：「ほほ…、そのような気がしたのじゃが…どうやら儂の気のせいであったようじゃのう。心配無用じゃ。」

狭霧：「…し、…心配無用だ……」(頬押さえ)

家臣：「そ、それならばよいのですが……(…葛葉様が大丈夫じゃない…！)」

～時雨家表門前～

家臣：「到着致しました」

水忌：「うむ、御苦労であった。」

家臣：「はっ」

狭霧：「…………」

水忌：「……まだ怒ってんのか？(ボソッ)」

狭霧：「怒ってない」

水忌：「(怒ってる…←苦笑)」

～時雨家大広間～
～神事終了後

？？：「あらまあ、また大きくなられて……去年よりも幾分か身長が伸びたかしら？」

水忌：「ふふ、良くお気付きになられました。ほんの少しではありますが、未だ成長しておりまする…。」

？？：「やっぱり、ふふふ。でも……本当、綾人兄様そっくり。」

水忌：「……自分でも、そう思うことが多々あります。幼き時分はそれが嫌だったものですが。」

？？：「そう…、でもそれはしょうがないことね。ああ、そうだわ、風魔さん。少しこちらへ来てくれるかしら」

水忌：「承知致しもうした。それでは皆々様。少しばかりお暇致しまする……。」

狭霧と共に退室。

？？：「ふう…疲れるなァ。……ははは、兄さんは美女だったからねェ、私の方がイケメンだったよ。今もだけどね！なーんてねっ」

水忌：「……真絢(マヤ)叔母さんが羨ましいよ、俺……。」

真絢：「あら？私からしたら美人な君達のほうが羨ましいのだけど？ね、狭霧くん？」

狭霧：「其の通りですな。全く、靖は女性の敵にございます。」

真絢：「あらあら、よく分かってるわねェ、狭霧くんは。」

狭霧：「真絢様のお気持ち、重々に……」

真絢：「もー、ホント紳士的なんだからー。どうしてあんな阿呆な兄さんの下で育っておいてこんな良い子になるのかしら？」

水忌：「…いくら情けなくて阿呆でも、俺の父さんなんだぜ……？」

真絢：「そんなこと言ったら私なんてあれの妹だよ？」

水忌：「確かに。」

真絢：「そこ、納得するの？」

～中途半端な状態で続く～