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SilverRainの水忌・風魔(b32238)と葛葉・狭霧(b58633)のブログです。 このキャラ2人が日常会話や日記を綴る、というコンセプトなのでその辺よろしくお願いします。                                                                          +*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+* このサイトに掲載されている作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、作成を依頼したものです。  イラストの使用権は私(管理人)に、著作権は『寛斎タケル氏』『悠貴氏』『濃茶氏』に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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※注意:アンハッピーエンド!


狭霧の様子がどうもおかしい。

俺が其の事に気付いたのは、情けない事に、
………つい一週間程前。orz



一週間前のこと。

其の日、何時もの如く注意深く顔を布で隠した私は、自室から廊下へと出ようと襖に手を掛けた。
時刻は早朝の五時頃といったところか……。季節は既に秋。早朝ともなれば寒くて敵わぬ。
儂はこう見えて寒がりなのよ…、ええい、何だってこんなにも寒いのか。
と独り言ち、意を決したように思い切って襖を右へ引き開けた。
……………うむ、やはり早朝の空気と云うものは身に沁みるものだ。
あまりにも空気が冷た過ぎて心臓が止まりかけた。
いかんいかん。このような事では……。業のみならず身体も確と鍛えねばならぬな。
今度からは早朝に禊…とまでは行かないにしろ、少しは寒さに慣れるような習慣をつけようか、いや待てよ、それよりは云々……などと、目蓋を閉じながら小難しげに(という程でもないのだが)首を傾げていると突然身体に衝撃が。
誰かにぶつかったらしい……。流石に目を閉じながら歩くのは拙かったか。
すまぬ、と謝り相手の姿を私の目が捉えたところで、一瞬思考が停止した。
恐らく今、私の目は見開かれているだろう。そのくらい驚いたのだ。
…だらりと目に掛かる前髪を気だるげな動作でもって無造作にかき上げ、昏い瞳を私に向ける其の人物。
左腕のみで上半身を支えるように左膝に手をつき、前傾姿勢になっている其の人物。
……当に私が今用事があった葛葉 狭霧、其の人であった。
それだけならば別段どうということもない。私が驚いているのは、この時間にこの人物がここにいるという「全く以って有り得ない」事実に対してだ。
何故有り得ぬのか、と問われれば一切の淀みもなくこう答えようぞ。
……こいつは決して一人で起きれないからだ。
普段はキリリとしているがその実、常に眠たそうにしている。実際、良く寝ている。
そのうえ何とも性質の悪い事に、寝起きは最悪。
一人で中々起きれぬ癖して、起こせば殴られる。しかし其処は兄として全うせねばならぬ、謂わば責務。
例え何度殴られようとも、私は狭霧を起こす。其れが日課。多分に漏れず、今日も今からその責務を果たさんと狭霧の下へ向かう所であった。
……それなのに、此奴は既に起床している、だと?He had already awoken. …と申すか?
おかしい。絶対におかしい。何かある、絶対。
私は其の疑問を解決すべく、狭霧に直接問うた。
「……狭霧、今朝は随分と早いじゃないか。何かあったのか?」
「…るせぇ黙ってろ。今は気分がわりぃんだよ。」
「すみませんでした…」
……やっぱ寝起きだったわ……。…めっちゃ機嫌悪いやん……。
狭霧は低いトーンで吐き出すように言うと同時に、私に鋭い一瞥を寄越した。何故か反射的に謝ってしまったが、其れは自然の摂理と言うことで片付けておこうと思う。
「ハァ……。…チッ…、ぐだぐだ悩んでも仕方ねぇな」
深く溜め息を吐きながら額に手を当て上体を起こす。舌打ちを一つして柱に寄り掛かる。そうして腕組みをする。その姿がまた何とも役者か何かの様で似合いであった。
普段の立ち居振る舞いもまた何処か気障な紳士の印象を受けるのだが、今のような状態の際はその気障っぽさが抜け落ち、代わりにプロの芝居でも見ているかのように自然な、しかし何処か日常離れした自然さがあった。
「何だ?悩みがあるなら俺に言えって」
「………お前にはこの間言っただろうが。」
……ふむ?そう云えば……、廊下で物凄い沈んでいたのを見掛けて慰めたな。と言うことは、アレに引き続き悩んでいる、と……。…何とも難儀な性格よな。…いや重畳重畳。悩むのは大いに良い事ゆえ。
「…まだ、悩んでたの?」
「…っ疲れたんだよ!俺は!だって良く考えたらおかしいだろ!何で親の仇なのにこんなにまでしてっ………あ……、」
堰を切ったようにそこまで捲し立てると、私の顔を見て口を噤む。
「……すまない。どうかしてるんだ。もう少し、放って置いてくれないか…。」
そう言ってまたふらり、ふらりと去っていく。頭痛がするのだろうか。額を押さえながら。
…ふむ、何だ、私はそんなに悲しげな顔をしていたのだろうか。
……そうかもしれない。
いつも仲良く、自慢の弟のように可愛がって、今まで共に過ごして来た。
そんな奴に、親の仇呼ばわりされて…まあ実際そうなのだが…酷く胸が痛んだ。
初恋が儚くも散った乙女のように、悲しくなった。
泣いて暮らそうか、と、其処まで考えたところで考える事を止めた。
狭霧とて普通に感情を持っている。そんな事、考える時だってあるよな。うん、あるある。あるに違いなし。いや、あるんだってば。絶対ある。あるったらある。頼むからそう思わせて。
……本当に泣きたくなってきた。大事な弟に「兄貴マジうぜぇー。ってかいなくていいからあんなの。」と言われたくらいショックだ……。
……よし、今日だけなら良いよな。今日だけ泣いて暮らそう。だってそうでもしないとやってらんないし。
くるり、と踵を返すと寝室へと戻っていく。そして広がったままの柔らかい布団の上に倒れこむようにしてうつ伏せになると、枕を引き寄せて少し泣いた。
…はて。おかしい。いつから私はこれ程まで涙腺が弱くなったのであろうな。
嗚呼、考えるのも面倒くさい。
そういえば、狭霧どうしてるかな…。
…寒くないのかあいつ…、いつもと同じ格好だったけど…。
……ん、そういえばあの時……いや、なんでもない。
「…なぁ、狭霧。俺はお前が思ってるよりもお前のこと大事に思ってるんだ…。……お兄ちゃん、どうしたらいいかな?」
……私の一族がお前の一族にやったことはとてもいけないこと。うん、知ってる。
…でも、どうしたらそれを許してもらえるのかな…。…このままじゃ狭霧おかしくなっちゃうよな…。
…いっそ、あいつに俺を斬らせるか…?…うん、俺としては構わないんだが、あいつはまだ純粋だから…人は殺させたくない…、その役目を負うのは俺一人で十分だ。
浮かばない。良い考えが、浮かばない。どうしよう、どうしよう。こんなとき、やはり頼りになるのは笑美瑠さんとの記憶。
「俺、どーしよー…。……分かんないよ、笑美瑠さん……」

…浮かぶあの人の笑顔。名前の通り美しい笑顔。
其の隣に居る幼い女の子……じゃない、あれは俺だ。女の子じゃなくて、男の子。
『ねー、さぎりがね。あまり元気がないんだ。…どうしたらいいかなぁ?』
少年が問う。
『そうねぇ…、狭霧くんは頭の良い子だから…考え込んじゃうのね。』
女性が答える。
『…どうしよう。何で僕に相談してくれないのかな?僕は、狭霧にきらわれちゃったのかな……?』
少年が俯く。
『あらっ、どうしてそう思うの?狭霧くんが靖胤くんを嫌うはずが無いでしょう?だって、あの子がああして悩むのは、あなたが好きだからよ?』
女性が笑う。
『……ほんとに?僕、嫌われてない?…でも、どうして笑美瑠さんはそんな事が分かるの?どうして、好きだと悩むの?』
少年が首を傾げる。
『まあ、質問攻めね?ふふっ、負けないわよ!…まず、そうねぇ、絶対に嫌われてないわよ。自信を持って!そして次に、んー、それは私が貴方達よりも年上だから、かしら。二人も大きくなれば分かるわよ、賢いから。最後だけど…、…それは貴方を傷つけたくないから。…ふふ、これも大きくなれば分かるわよー!』
女性が悪戯っぽく笑う。
『……大きくなったら分かるのかぁ……。…僕、早く大きくなるよ!大きくなって、狭霧と仲直りする!』
『まあっ、ふふふ…。大きくなる前に仲直りできるわよ!』

……懐かしい夢を見た。
そうだ。確かこんなこともあったな…。
……大きくなったら分かる、か……。…確かに、今なら分かる。好きだと、傷つけまいと悩む気持ち。
…でも、さっきのあの態度…明らかに「好き」ではなかっただろう……。寧ろ「怨み妬み」…のような。
……分からない。考えれば考えるほどに、分からない。というかもう、考えたくない…。
誰か、誰か俺を……いや、それよりもあいつを、助けて欲しい。
誰か…教えてくれ。俺はどうしたらいい…?
分からない…。考えたくない…。
本当に、……。


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