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SilverRainの水忌・風魔(b32238)と葛葉・狭霧(b58633)のブログです。 このキャラ2人が日常会話や日記を綴る、というコンセプトなのでその辺よろしくお願いします。                                                                          +*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+* このサイトに掲載されている作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、作成を依頼したものです。  イラストの使用権は私(管理人)に、著作権は『寛斎タケル氏』『悠貴氏』『濃茶氏』に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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※今回はイラストメインです、気をつけて。
ちなみに戦争終了後、帰宅してからのお話。
※狭霧は髪を切りました。気持ちを入れ替えるために。



――― 泣いている。
―― また、泣いている。
そして私は、何時もの如く、何も出来ないのだ……。

200909290704000.jpg













―― 肩を震わせ静かに泣いていた。
何時も微笑みを浮かべ、他愛も無い事ばかり口にして笑っている彼が。
―― いや、違う。これが彼の本当の姿だと、私には分かる。
唯一、彼を幼い頃から知っている私だからこそ分かるのだ、と自負している。
たとえ他の者が其れに気付いたとしても、其れは本当に理解できているわけでは無いだろう。
其れほど巧妙に己を隠すのがこの男なのだ…。
…まあ、自分の口から伝えているというのなら其れは本心だろう……おそらくは。
彼は何時の間にやら嘘というものが得意になっていた。
偽りの笑顔、偽りの言葉……どれも巧妙に使いこなしてしまう。
可哀想だと思う。これは同情などではなく、……否、もしかしたら思わず同情してしまうほどに可哀想なのかもしれない。
私がずっと彼を見てきて分かった事は…、彼は酷く他人と言うものを意識しているということ。
常に他人の目を気にして、常に己の相応しい姿というものを取り繕って、今までずっとそうして生きてきた。
私も人の事は言えないのだが、そうした生き方はとても疲れるし、本人からすれば惨めでしょうがないのだろう。俺は最低だ、なんて思っているに違いない。
だからこうして泣く。誰もいないところで、独り、肩を震わせ静かに泣いている。そうして何とか繋いできた。
私はいつもそれを見ていることしか出来ない。口出しできない。
慰めの言葉や優しい言葉を彼は良しとしないからだ。ただただ、独りになることを望んでいる。
力を暴走させる事も、裏の面を見せる事も決して良しとしない。だから独りになりたがる。

ただ、残念な事に今日は独りじゃない。私が居た。それでも彼は構わず泣いた。自分の無力さを恨みながら。
私の前で泣いたのは、慰めを必要としているからか、それとも、私など目にも入らぬほどに悲しみが強かったのか。
どちらにせよ、余程切羽詰っていたのだろう。
どうしようか、どうしよう。助けてあげたい、慰めたい。
でも、拒絶が怖い。この間、廊下で彼と出会った時に酷い事をしてしまった。私に優しく手を差し伸べてくれた彼を拒絶してしまった。
何てことだろう。自分は拒絶しておいて、今は彼に拒絶される事が怖くて手を差し伸べる事を躊躇っているなんて。
こんな私など本来は彼の傍に居る事は許されない筈なのに。それでも何時ものように笑って傍に居ることを望んでくれた彼に何もしてあげられないなんて。
そんな自分にどうしようもなく苛立つ。愚かだと思う。まだまだ餓鬼だと思う。いっそ腹を割いて死ぬべきだと思う。……残念ながら、まだ死ねないので其れは叶わぬのだが。

彼の背中を見る。
男とは思えないほどに細く弱々しく、頼りなさげであった。
その両肩に、重き使命と罪と、沢山の部下や仲間の命を背負って生きているのだと思うと、手を差し伸べずにはいられなかった。

8f0c5ca7.jpg

肩に触れようと手を差し伸べ――

273fca63.jpg

―― 出来なかった。
触れたら其の瞬間に色々なものが崩れそうな気がして、触れる事が出来なかった。
そして何より、其の肩から、背中から、今は全ての存在を拒絶しているのを感じた。
これもやはり、長年共に生きた私だから分かる事。
近いからこそ、感じ取れる拒絶。(これを知らずに触れることが出来たのなら、どれだけ楽だったろうか。)

200909290705001.jpg

―― 近いからこそ、感じる距離。




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