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SilverRainの水忌・風魔(b32238)と葛葉・狭霧(b58633)のブログです。 このキャラ2人が日常会話や日記を綴る、というコンセプトなのでその辺よろしくお願いします。                                                                          +*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+* このサイトに掲載されている作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、作成を依頼したものです。  イラストの使用権は私(管理人)に、著作権は『寛斎タケル氏』『悠貴氏』『濃茶氏』に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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其の日、葛葉 狭霧は珍しく一人だった。
何時もなら隣にはある青年の姿が見られるのだが、今日だけは違った。
其処だけ時の流れが遅れているかのようなあの優雅な足取りで、後から遅れて歩いて来るのかと思っても、何時もの青年は来ない。
……そう、彼は今、完璧に一人だった。


                                      Side:Someone


昼、燦々と照る太陽の下。
彼は屋敷を徘徊していた。
……本人曰く、これは『見回り』なのだそうだが、何処へという当てもなく、雲の上でも歩いているかのような足取りでふわふわと屋敷を歩き回る姿は、どう見ても『徘徊』にしか見えなかった。
……はて、『彼という存在』はこのような不安定なものであっただろうか、と首を傾げてみても、どうやら答えは一つしかないようだ。
…正解は『NO』
何時もならば『凛』という文字を体現したかのように背筋をスッと伸ばし、その一挙一動がまた微塵の無駄も無く清廉の美を見せているような、そのような人物であったはずだ。
そうして屋敷を歩く姿は宛らSP、否、すっかりプログラミングされたロボットか何かのように全てが完璧だった。
何かを尋ねられれば一切の淀みも無く答え、常に主君を危険から護ろうと其の昏い瞳を光らせ。
主君にだけは劣るが屋敷中の誰よりも優れた武力、そしてその主君にさえ引けを取らない頭脳。
……これだけでも大層な存在だと云うのに、彼の人物は容姿も性格も優れている。
人形のように飾り気の無い、作り物のような容貌。冷静沈着、真面目ながらも純心。
足りないのは表情のみ。常に変化が見られない表情。常に平淡な口調。ただそれだけが物足りない。
それ以外は総てに於いて天才と呼ぶに相応しかった。無論、屋敷の女性達にも絶大な人気を誇る。
…そんな彼の、今日に於いては何と不安定なこと…
何が彼をそうさせたのか。あの彼にそこまで根源から影響を与えたものは何か。
これまた答えは一つしか見当たらない。
…そう、他でもない彼の主君、
水忌 風魔…様。
…様を付けないと呪われてしまいそうだなどと考えたわけではない。
純粋に畏れ多いのだ。
我々の前では決して晒す事が無い其の御顔。噂によると「女性」だというが、果たしてこれは如何なものか。真偽は定かではない。其の御顔を知る女中頭やリクと言う少年は揃って「綺麗な方」と言うが……声ではどうにも判断出来ぬ。ゆったりと流麗に紡ぎ出される其の御声は、やや低めの女声にも聞こえるし、高めの男声にも聞こえる。
ただ何度か実際に其の立ち姿を拝見した事はある。何時もは座っており分からなかったが、葛葉様を超えるすらりとした長身、しかし女性的な身体つき。常人には見られぬ美しい白銀の髪、其の異様な長さ。着物の袖から覗く手から判断するに、真っ白い雪のような肌。
美しい。此の世のものならず美しい。ただただ美しい。
……これは人間だろうか。はたまた神か化生のモノだろうか。
…ははぁ、あの美しさからして、さては魔性…などと詰まらぬ洒落はどうでもよい。
…否、人間に違いないのだ。主君を疑うは御法度。あの御方は人間である。ああ、人間だ。
そして其の『人間の』主君に使えるのが『人間ならぬ』葛葉 狭霧。
聞く所によると、彼は『ヴァンパイア』なのだとか。
ヴァンパイア、…吸血鬼。…他の生物の血を吸い生き永らえる存在とか。
何故そのような彼が人間である風魔様に仕えているのか。
それは紛れも無く彼らの父の影響。あの御二方の事はよく知られている。
水忌の誇りの為にと、掛け替えの無い友の為にと、自らの首と一族の誇りを差し出した葛葉の長。
彼らもまた、その子らと同じように特別な存在であった。
先代の風魔様もまた人ならぬ見た目をしていた。しかし髪色はやや黒に近かった。
先代の葛葉様もまた人でなく総てが完璧だった。しかし表情というものが確と存在した。

話を戻そう。
今の話の流れと彼の状態がどのような関係があろうか。否、大いにあるのだ。
寧ろ此れにこそ本質があろう。
……そう、近いのだ。
彼の父の命日が。

互いがよく話し合ったうえでの結果であった。寧ろ先代の風魔様は必死に止めたのだ。
『友を犠牲にしてまで誇りなど護りたくは無い。友を棄てる位ならばこの下らぬ誇りなど喜んで棄てよう。』と。
しかし彼の父は其れを振り払った。斬り捨てた。
友が差し伸べた手を振り払った。拒絶した。心を、鬼にして。
そして彼の父は盟友の手に掛かって死ぬ事を望んだ。
そして其の友は盟友を手に掛ける事を望まなかったが、盟友の望みを聞き入れる事を望んだ。
そして彼の首は下賎で下等で低脳な輩共の前に晒される事となった。

その後、一族唯一の生き残りとなった彼は水忌の家へと引き取られた。
そこで現代の風魔様とまるで本当の兄弟であるかのように、しかし主従として、共に育った。
平穏に育った。健やかに育った。優しく育った。強く育った。
……負の感情を表に見せぬ強い心を持った。
……まだ幼かった彼の瞳は確と其の光景を目に焼き付けていた。己の父が信じていた者に斬られ変わり果てた姿となるのを。
幸い、彼は賢い子であった。己の父がどのような理由で斬られたのかを心より理解し納得していた。
……思えば、そこからやもしれぬ。彼が『完璧』となったのは。
元より天才であった。だがそれでも更に、『完璧』となった。
無駄を一切棄て、武に励み、ありとあらゆる知識を身に付け、勉学に励み、一切の欲を棄てた。
色々なものを、少しずつ、少しずつ積み重ねて行き、歳も少しずつ、少しずつ積み重ねて生き。
そして其れと比例するかのように、彼の『しん』の部分は欠けていった。彼自身、棄てていった。
『しん』とは『芯』であり、『心』である。
自らがいらぬと思ったものは全て斬り捨ててきた。文字通り、刀を振るうことによって振り払ってきた。
…幼き頃は、良く笑い、良く泣く少年であったという…。
…その面影は、もはやどこにも見られぬ。
だが父の命日ともなると、彼の鉄壁は揺らぐ。『しん』の欠けた精神は、脆く崩れようとする。
支えるものも、負の感情を吐き出す相手もおらぬ。そんな彼は今、幼き頃よりのツケが廻って来たかのように、負の感情に呑まれそうになっていた。

そんな時、あの人が現れた。


                                                                                                                        Side:Sagiri


昼、私は屋敷内を徘徊…もとい、見回りをしていた。
周りから見ればただの『徘徊』……だが、『見回り』ということにしておきたかった。
足が重い。まるで何かが私の足に纏わりつき引っ張っているように。
足に力が入らない。まるで雲の上を歩いているかのように。
少し油断をすると縁側から転げ落ちてしまいそうだ。いや、いっそ落ちてしまおうか。其の方が楽な気もする。
ふ、と。空を見上げた。快晴だ。『気分が悪くなるぐらい』良い天気だ。
……じっと空を見上げていると、今迄の様々な事が心に浮かんだ。
今迄の己の辿って来た道を心の中でなぞってみる。……嗚呼、逃げてばかりだったな、と思う。
そして何だか私は、自分の生き方に疲れてきたな、と感じた。

思えば少しやり過ぎたのかも知れない。
幼き頃の私は、惨状を、惨劇を目の当たりにしてひどく絶望した。子供ながらに世の残酷さを、人間の非道さを呪ったこともあった。
(けど僕には護りたい人間が居る。彼だけは世界に変えても護って見せると誓おう。)
それがどうだ。今の状態の自分にそれが務まるか。いや、務まるはずも無い。ならばどうする。どうすればいい。こんな中途半端な精神状態で、アイツをどうやって護るというのだ。
(……ならば、棄ててしまえ。僕の壁となるもの全て。……それがいい。それが一番簡単じゃないか。
僕は……私は今を以って『完璧』となるのだ。一切の無駄も無い、『完璧』な存在へと。)

こうして私は生きてきた。だが其れも疲れた。何だか酷く疲れてしまった…。
本当はあの時、すごく悔しかった。一族を、母を、兄妹を、父を殺されて。侮辱されて。
何故僕達なんだ、僕達が何をしたと言うのか、と口汚く罵ってやりたかった。今だって、そう思うかもしれない。だが、私はそういった一切の感情を棄てた。だから今更悔しいなんて思わないし、思えない。思う事ができない。それができたら、もう少し楽に生きて来れたのに、と。そう気付いたのは今になってから。
…だが、欠けていたものを、棄てたものを取り戻すことは出来るのだろうか。
出来たとしても、そう簡単ではないだろう。少なくとも、今の私には不可能だ。今更どうしろというのか。
「……ふっ、ふふ……愚かなり……。……愚かで、そして何とも哀れなことよ……」
何だか急に、自分が酷く愚かで哀れで可笑しな存在に思えてきた。
私は近くの柱に背を預け、そのままずるり、と床に座り込んだ。
…?…座り込んだ…はずだった。しかし床に接しているのは足の裏のみ。
気付くと私の目の前には人が立っていて……和服を身に纏った綺麗な女性が、呆れたような苦笑でもって私を支えていた。
……女性ではなかった。それは私の唯一にして至高の主、水忌 靖胤であった。
「……誰が、愚かで哀れなんだ?」
彼は尋ねた。
「……俺しかいないだろう。」
私は答えた。
彼はもう一度、呆れたように苦笑した。
「何でそう思うんだ?………何て、ふふっ、馬鹿馬鹿しくなったんだな、自分に。分かってるさ。お前の考える事は全部分かる。」
「……その自信はどこから来るんだかな。………分かるわけない。お前と俺じゃ違いすぎる。」
ああ、ちょっと言い過ぎたか?などと反省していると、彼は寧ろ不敵な笑みを浮かべて、
「分かるとも。お前と俺は違うように見えてその実似ている。……そりゃそうだ。兄弟だもの。」
……兄弟。
「だからさ。もっと甘えて良いんだぞ?他の誰にも甘えられなくても、俺に甘えりゃ良い。」
そこまで言うと彼は両腕を私に向けて広げ、に、と片方の口の端を吊り上げて笑った。
「ほら、泣きたきゃ此処が空いてるぜ?」
「………っ」
目頭が熱い。何かが込み上げて来る。駄目だ、ここで飛び込んだら今まで自分のしてきた事全てが無駄になる。
先程まではどうやってこの生き方をやめようか、などと悩んでいたのに。こうなると躊躇ってしまう。
私がまごついていると、靖胤が痺れを切らしたのか私を抱きしめた。
「ほら、また悩んでる。そういうときは悩む前に行動しろ。その時の勢いのみで生きるってのも中々楽しいもんだぜ?」
「……っ、………ぅ」
「うんうん、泣いとけ泣いとけ。泣きたいときは此処で泣け。可愛い弟のためなら何時でも貸してやるからよ。」
そう言ってぽんぽん、と子供をあやすように背中を叩いた温もりが、在りし日の家族の影を浮かび上がらせた。そうして私は、いとも容易く己の陰を救ってくれる彼と共に生きてきて良かった、と微かな幸せを感じたのだった。

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